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【指南773 萩原道場へようこそ】
テーマ:社外師範編

2018年6月18日

一流サービスマンに学ぶ「人の心をつかむ術」

「帰ってくれ。もう二度と、そちらと取引することはない」。 それまで懇意にしていただいていた取引先なのに、ちょっとした対応の不手際から心情を損ねてしまい、取引停止にまで事態が悪化してしまう…。信頼という土台が崩れてしまったら、いとも簡単に全てを失ってしまうこともあるかもしれません。

今回、師範として登場いただくのは、各界の著名人が訪れる中国料理店 Wakiya総支配人の萩原 清澄さん。店を訪れるお得意客と信頼関係を築いている”超一流の人脈を持つサービスマン”です。萩原さんの「人の心のつかみ方」を著書「サービスマンという病」(幻冬舎)のダイジェストでお伝えします。

さて、そんな萩原さんにも、お得意様の信頼を失ってしまった経験があるそうです。
それは、萩原さんが30代に入ってすぐの頃。サービスマンとして生きていく覚悟をして、少しでもお客様の気持ちを想像し、サービスの場で活かしたいという思いがどんどん膨らんでいた頃。「たびたび来店してくださる、ある音楽業界の有名経営者Aさんのことをもっと知りたいと強く思うあまり、自分でファンクラブに入会し、チケットを取り、Aさんの事務所に所属するグループのコンサートに行きました」

一介のサービスマンが所属グループのコンサートにまで足を運んでくれたことをAさんはきっと喜んでくれる。そう思った萩原さんは、たまたま来店されたAさんへコンサートに行ったことを伝えました。「でも、Aさんは『あなた、バカね。そんなことしている場合じゃないでしょう。自分の仕事をしなさい』と言い残し、それ以来ぱったりと姿を見せなくなってしまったのです。
「私は、なぜAさんの心情を損ねてしまったのかが分からず、考えあぐねて、相当落ち込みました。そんなとき、友人が『Aさんほどの方なら、周りにはコンサートに行きましたという人がたくさんいる。なかには打算的な人もいる。萩原さんのことを、ただすり寄ってくる人なのか、本当に気持ちのある人なのか、Aさんは見ているんじゃないかな』とアドバイスしてくれました。友人からの助言を受けたその日、私は意を決し、魂を込めてAさんに手紙を書きました」

取り入ろうというような考えは、決してなかったこと。コンサートではファンへの思いや仕事に対する情熱を感じ純粋に感動したこと。それでもコンサートに行ったと伝えたのは無粋で浅はかだったと反省していること。どん底から絞り出した言葉の数々が綴られた手紙はAさんのもとへ。そして後日、久々に店を訪れたAさんは何事もなかったかのように食事を終えると、帰り際、萩原さんの耳元でこう言ったそうです。「手紙読んだわよ。応援しているから、命懸けで頑張りなさい」と。

「失敗したからこそ、それこそどん底まで落ちたこともあるからこそ、見えたことがあります。それは、いかなる苦難が立ち塞がったとしても『情熱を持って正面からぶつかっていく』こと、そして『絶対にあきらめない』こと。今、多くの方が私に目をかけてくださるのは、このことを信条にしているからだと思います」

次回は、「人の心をつかむコツ」です。萩原さんの仕事観を深掘りします。ぜひご覧ください!

プロフィール:
萩原 清澄 (はぎわら きよと)氏
中国料理店 Wakiya 統括支配人
1980年生まれ。2002年、法政大学を卒業後、オーナーシェフ 脇屋 友詞氏が創業したWakiyaに入社。グループ各店でサービスマンとして働き、2008年にWakiya迎賓茶樓の立ち上げに支配人として携わる。その後、Wakiya一笑美茶樓の支配人を経て、2012年、32歳のときから、現職のグループ統括支配人を務める。脇屋 友詞氏は伯父。

【指南773 萩原道場へようこそ】

著書に『サービスマンという病』(幻冬舎)