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【指南743 優秀な人は環境に不満を言わない】

2018年3月9日

困難なときほど自分にできることを考える

二度と歩くことはできない。そんな絶望から周囲の支えにより立ち直り、長いリハビリを経て、ついに復学を果たした中村さん。その後、中村さんは在籍していたアメフト部にコーチとして合流しました。そこで学んだこと、それは「現状に不満を言わない。現状を受け入れた上で、自分に何ができるか探すこと」でした。
中村さんのコーチ業は、最初から決して順調だったわけではありません。身体も動かせない。大きな声も出せない。できないことだらけの自分はチームに何の貢献もできていないのではないか。そんな自己嫌悪に苛まされ、自らの障害に苦しむ日々が続きました。思い悩む中村さんに光をくれたのは、中学時代の恩師の言葉でした。

「恩師の口癖は『優秀な人は環境に不満を言わない』。環境に不満を言うのは誰でもできる。大事なのは、現状を受け入れた上で、自分に何ができるか探すことだ、と。その言葉を思い出して、僕はもう一度自分のコーチとしてのあり方を見つめ直すことにしたんです」

身体の自由が利かないことは、競技スポーツのコーチとしては致命的かもしれません。ですが、そんな自分にもできることはあるはず。自らの障害を受け入れた中村さんは、ある“自分だけの居場所”を見つけました。

それは、頭脳です。アメフトは、激しい身体のぶつかり合いが見どころであると同時に、知のスポーツ。戦略が勝敗を左右します。司令塔であるヘッドコーチが控えるスポッター席は、全員が着席した状態で観戦し、チームに指示を出します。ここなら、車いすであってもハンデはない。そこから中村さんは必死でヘッドコーチとしての勉強を始めました。

「対戦校の映像を何時間も観て、選手の傾向・弱点を分析する。その上で、勝利のための作戦を1試合で約120パターンほど考えます。身体は動かせなくても、頭で考えることはできる。これなら僕でも十分に戦えた。スポッター席が、“僕の居場所”でした」

努力の末、就任4年目で目標だった上位リーグに昇格。この経験は、中村さんにある学びをもたらしました。

「人間は言い訳をする天才です。時間がないから。アイツが動かないから。気がつくと言い訳だらけになってしまいます。でも大切なのは、困難にぶつかったとき、環境や他人のせいにせず、自分にできることを考えること。僕はコーチの経験を通じて、そのことを学びました」

大きな壁にぶつかると、人はつい言い訳を探してしまいます。ですが、言い訳をしているうちは成長できない。結果を出す人とそうでない人の差は、こんなところにあるのかもしれません。
次回は、「人には、それぞれの使命がある」です。ぜひご覧ください!

【指南743 優秀な人は環境に不満を言わない】

(写真)関西学生アメリカンフットボール連盟主催New Era Bowl2015にて。中村さんはこの試合にレシーバーコーチとして参加。試合後にチームメイトと。