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【指南545「営業学」講座より④ アイドリングトークの秘法】

2016年8月10日

「まさか天気の話なんかしていませんよね?」

ドキッとした人が多かったのか、会場が少しざわつきました。伊東さんが話しているのは、アイドリングトークの話題についてです。
たとえば初対面の相手と商談をするのにいきなり本題に入るのもどうかと、世間話をしてみる。よくあるシチュエーションですし、営業に関する本などを読むと、アイドリングトークは場を暖めるのが目的なので話題は何でもOK。天気やスポーツなど、差し障りのないテーマが適していると書いてあります。

でも、「天気の話で盛り上がれるのは、気象予報士か漁師ぐらい」と伊東さん。なぜ天気の話がいけないのか。それは、答えが限定されてしまうからです。

「いいお天気ですね」 「そうですね」
「暑くありませんか?」 「いえ、大丈夫です」

イエスかノーか、あるかなしか、好きか嫌いか。このように二者択一で答えが限定されてしまう問いかけを、「限定質問」(またはクローズド・クエスチョン)といいます。これでは、どうやったって話は広がりません。
これに対して、回答の幅がある問いかけを「拡大質問」(またはオープン・クエスチョン)といいます。

「休みの日は何をしているんですか」 「ジムに行くようにしています」
「何かきっかけがあったんですか」  「最近マラソンを初めて。フルマラソン完走が夢なんですよ」

拡大質問ならばこんなふうに自由に返答できるので話が弾むし、相手の考えていることや情報を引き出すことも可能です。
ただし初対面の相手に拡大質問をする場合は、少し注意が必要です。あまりぐいぐい踏み込むと、根掘り葉掘り探られているようで、聞かれているほうはいい気分はしません。そんなとき、事前にヒントになる情報が入手できると、ぐっと相手の懐に飛び込みやすくなります。

以前、お客さまからウインドサーフィンにはまっている友人を紹介してもらった伊東さんは、何冊も本を読んで予習して、ひとつの質問を用意して会いに行ったそうです。
「風も波もまったくないときはどうするんですか?」

するとその方は待っていましたとばかりに、そんな場面で必要な技術や風を捉えたときの最高の気分を話してくれて、あっという間に約束の時間を大幅にオーバーしてしまったそうです。結局、本題には入れずに生命保険の話は次回に持ち越されましたが、初回ですっかり打ち解けたことで、すんなりとお客さまになっていただけたそうです。

初対面の場合、話し始めて2,3分で、「この人はこういう人」というイメージがほぼ固まるといわれています。「見えない心の壁を壊す効果的なアイドリングトークには拡大質問」と覚えておいてください。

次回は最終回。「決められない人に、すっぱり決断させる方法」です。

 

【指南545「営業学」講座より④ アイドリングトークの秘法】

(写真)講義の中で実際に、学生相手にアプローチのトークを披露。