>  TOPページ

【指南252】

2014年2月28日

いつも、なにかに感動していますか?

こんにちは。フェイスブック運営事務局のオギハラです。リクルートエグゼクティブエージェントの森本千賀子さんをお招きしての指南も、本日が最終日となりました。森本さんは何冊もの著書や講演の中で、「感動力」を養いましょうと奨めています。そのことについて、お話をたっぷりとお聴きしました。

 

「もともと祖母から、『ちいさなことでも感動する心を持ちなさい』と育てられました。息子が2人いるのですけど、下の子と散歩したりしていろんなところに行くと、子供ならではの純粋な目で、そこにある小さな花や植物に感動している姿を目の当たりにできるので、恵まれているなと思っています。会社においても、いろんな人がいて、それぞれの役割を果たしているからこそ、自分もこうして働いていられる有り難さを忘れないようにしようと。一緒に働くメンバーにも感謝し、いつもそのことを伝えてきました」

 

ここ最近で、とくに感動したのはどんなことですか?と森本さんに尋ねると、ある中年女性とのエピソードを話してくださいました。初めて出会ったのは半年前のある午後のことだそうです。地下鉄を降り、改札へと向かっていたとき、トントンと背中を叩かれた森本さん。振り返ると、その女性が立っていました。「あの、失礼ですが、NHKのプロフェッショナルに出ていた森本さんではありませんか」。「はい」と答えると、女性は言いました。「録画したあの番組をことあるごとに見させていただいて、森本さんから勇気をもらってるんです」と。

 

「そう言っていただけるのは、本当に嬉しいですね。いろんな状況下で頑張って働いている人を少しでも元気にできたら、社会貢献になるんじゃないかと思って出演のオファーをお受けしたということもありましたから」

 

森本さんは次のアポイントの時間が迫っていました。「それでは、急ぎますので」と言いかけたのを申し訳なさそうに遮り、その女性は言いました。「じつは私、来月で定年退職します。でも、ご覧の通りまだまだ元気でまだまだ働く意欲はあります。なんとか私の次の人生を森本さんに預けられませんか!」。その場は名刺交換だけして別れた森本さん。数日後に女性からコンタクトがありました。

 

「本当にぜひお時間をいただきたいんです、と。それもメールじゃなくて直筆のお手紙を頂戴しました。なんとなく引き合わされた感じがして、『お会いしてみよう』と思って、じっくり面談させていただくことになったんです」

 

女性は学校を出たあと、家事手伝いを経て結婚。親は猛反対で、勘当されてしまいました。ご主人の転勤と共に地方から上京しましたが、結婚わずか1年後にご主人が心臓発作で急逝されてしまいます。実家にも帰れず、40歳近い年齢で、職歴があるわけでもない。「でも、もう生きていくしかない」と、いろんな会社に履歴書を送ったものの、まったく会ってももらえません。たまたまセールスとして採用された会社で、いままでずっと働き続けてきました。

 

「いただいた名刺には『営業部長』と刷ってありました。『どうにかこうにか長年勤めてここまできました。ただ、定年退職ですから辞めるしかありません』と。それを涙ながらにお話されたんですね。私はふだんの仕事でもそうやって、何万人という方と面談してきました。感情移入することはありますけど、相手の方が涙しても、冷静に対応しなければなりません。けれども、このときに初めて、面談中に私自身も涙をこぼしたんです。ご事情を聞いて、なにかもう人ごとじゃない、もう放っておけなくてですね。それで、ビジネスというよりも個人的にご支援をしたいという思いで、知り合いの社長さんとかのツテを辿りながら『こういう方がいらっしゃるんですけど、どうですか』と、数か月かけてお探しをして、先日ようやく、採用してくださる会社が見つかって入社されました。これが、つい最近、いちばん感動したことですね」

 

その女性との面談のとき、森本さんは、なぜ泣いたのでしょう?

 

「彼女がおっしゃっていたのは『なかなか売りにくい商材だけれど、私はお客さまに対して、なんらわるいことはしていない』と。自分が売っている商品は必ずお役に立てるものだという気持ちがあったんですね。だから、新規開拓していて、叱責されたり、『忙しい』と邪険にされたり、会ってももらえなかったり、入り口でシャットアウトされたり、1日かけていろんなところを回っても意思決定者の方にお会いさえできない日もたくさんあったけれども、『全くめげずにやれた』と。なにか大切なものや初心を思い出させてくださったんですね。まさに私もこれまで、そういう気持ちでやってきたなぁと、共鳴した瞬間だったんだと思います」

 

この女性との出会いが大きな転機として、次の自分の〈WILL〉に繋がるかもしれないと森本さんは感じています。

 

「私、あの番組やいろんなメディアや講演でメッセージを送るというのは、社会のためになると思ってやってきました。でも、それってどうなんだろうと、とくに震災をきっかけに考えるようになりました。社会という視点も大切ですけど、いま目の前にいる、困っている人のためにできることがあるんじゃないかって。まさに、その女性に対してやったことが、なにか次のステップへと踏み出すきっかけになるかなぁと、私の思いは、すごく巡らされましたね」

 

さらに森本さんは続けます。

 

「私の使命は、人と組織のご縁をつなぐこと。人と組織のより良い結びつきが社会を変えると信じています。転職エージェントという仕事はまさに私のライフワークに他なりません。やりがいのある、そして目の前の大事な人を幸せにできるこの仕事をなにより誇りに思っています。私が考える“キャリア”というのは仕事とか職業ということではなく『仕事を通じてどのように生きていくか』という意味です。本気スイッチをONにして今後も様々なチャレンジをはじめ、二児の母として“人間力”を磨き込み“人”として成長できるよう、新たな自分探しに向け更に邁進していきたいと思います」

森本さんが力強く語るその姿には、自信と信念が満ちていました。これからの進化、〈WILL〉がますます楽しみです。

【指南252】